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なぜ日本の動漫が中国の若者を惹きつけるのか
このシリーズでは、日本の動漫(アニメ・漫画)がいかに中国の青少年の心を惹きつけたかという代表的な例として、90年代半ばに大ヒットした「スラムダンク」や「セーラームーン」を取り上げたが、実は日本に出現した動漫は、どんなものでも全て中国大陸に上陸していると断言しても過言ではない。1981年にさっそうと現れた「鉄腕アトム」は、10年間におよぶ文化破壊と鎖国の中で生きてきた中国庶民に非常に大きな、そしてあまりに新鮮なショックを与えたため、「アトム」はいつまでも煌びやかな希望の星として庶民の心の中に温かく生き続けている。

 日本動漫の最初の上陸の仕方がこういう風であったから、入り口の時点で好意的な目で見られているという受け容れ環境が中国にはあった。あれから26年。約30年近い歳月が流れ、中国の発展と進歩には目覚しいものがあるというのに、それでもなお今の若者の心を惹きつけて離さないのはなぜなのか。むしろ年を追うごとにその熱狂さは、ますます激しくなっているとさえ言える。


ウェブに寄せられた「日本動漫」ファンの声

 この魅力のカギを解き明かすため、多くの取材を試みていた時に、私は「百度知道(バイドゥ・ズーダオ)」に面白い問答が載っているのを見つけた。「百度知道」というのは投稿型の検索サイトで、中国庶民がよく使う検索サイト「百度Baidu」のサービスの一つである。

 このサイトの特徴は、ユーザーが何か知りたいことや解決してほしい問題を抱えているとき、YahooやGoogleのようにキーワードを入れるのではなく、「文章」で「質問」を書き込み、ウェブ上に公開して「返答」を待つ、というサービス形式にある。この掲示板に次のような呼びかけがあった。

「誰か、私を助けてください。私は日本語学科で勉強している大学生です。実は、<日本の動漫>というテーマで論文を書こうとしています。日本の動漫ファンの皆さん、あなたたちは、なぜ日本の動漫に惹きつけられたのか、その理由を教えてください(私自身も日本の動漫ファンの一人ですが、でも論文を書くには客観的な意見が必要なんです)皆さん、どうか私に力を貸してください」

 こんな呼びかけに対して、多くの回答が寄せられ、それが掲示されていた。渡りに船だ。中国の若者たちが日本の動漫になぜ惹きつけられているのか、回答の中から代表的なものを整理してご紹介しよう。


「ストーリー」「絵」「声」「想像力」…

1:そうねぇ、日本の動漫の一番すばらしいところは何といってもストーリー展開。アニメは、その動画効果が抜群。何回でも見たいという気になるわ。

2:ストーリー展開だね。人物設定もいい。でも最も大事なのは、あらゆる年齢層の人間が見るに堪える内容であるってこと。中国の動漫みたいに、子供だけを対象としたものじゃないから。

3:やはりストーリーのすごさ。そのうえ中身も多様性に富んでいる。日本って、作品の作り方自体が中国と違うんじゃないのかな。どのようにすれば若者の心をつかんで視聴率を上げられるか、きちんと計算されているように思う。中国の動漫みたいに、10歳以下の子供だけを対象としたものじゃないし……ていうか、中国の動漫、10歳以下だって見やしないよね。それから日本の動漫は、描かれている社会環境が異なるっていうのも(私たち中国人にとっては)新鮮で魅力的。

4:映像がとてもきれいだけど、単に美しいだけじゃなく、ストーリーに命や人類や愛、友情など、人生の多くの要素が織り込まれている。だから、日本の動漫は、自分の思想の形成を助けてくれるひとつの道になっている、と思う。昔の漫画や童話と今の日本の動漫の(レベルの)違いは、たとえば「桃太郎」と「新世紀エヴァンゲリオン」を見比べれば、何も言わなくてもわかるんじゃない?

5:たぶん、心の中の欲求を満たしてくれる内容だから、日本の動漫に惹かれるのかもしれない。日本の多種多様な動漫の世界には、私自身が欲している、でも私の中にまだないさまざまなものがたくさん含まれている。だから、動漫を見ると、私は自分の心の中の空虚な部分が満たされるし、自分の居場所を動漫の中に見つけることができる。

6:誰だって美しいものが好きでしょ? 日本の動漫はとにかく美しい。きれい! それだけで十分なんです。

7:中国製の動漫は、しょせん、教育目的で作られている。そんな動漫、好きになれる人がいると思う? 優等生のキャラクターを作り上げて、「さあ、この人たちのようになりましょう」と父母に言わせるための道具が中国製の動漫。だから、「日本の動漫」だから惹かれる、ってことじゃなく、むしろ、大好きな動漫を選んでいったら、結局日本の動漫だったんです。

8:あの声優の声がたまらない。何度聞いてもステキだし、見た後に爽快感が残る。

9:中国の動漫は幼児向けで幼稚な内容だけど、それだけじゃなく、いつも党に忠誠を誓い、人民に忠誠を誓わせるものばかり。少しも人間の内面性を表現したような作品がない(ああっ、みんな、どうか私を殴らないで! だって、これは真実なんだから……)。ところが、日本の動漫のストーリーには、私たち中国の普通のひとたちと共通する思考が反映されている。登場人物の内面の葛藤を正直に描いていて、そのうえで、主人公は常にどんな困難にも打ち勝ち、最後に成功を遂げる。そんなストーリー展開が私たち視聴者の心を揺さぶり、励ましてくれる。この残酷な現実世界で自信を失ったときも、最後は正義が勝つんだという信念を与えてくれる。

10:豊富な想像力、それにつきるね。

――ウェブには、こんな回答が延々と続いている。さらに私は、清華大学の動漫サークルの大学生たちに話を聞き、回答を補ってもらった。彼らは、自分たちが日本の動漫に惹かれた理由について、こう説明する。

「日本の動漫は、欧米諸国でも人気が高いと聞きますが、中国においては、おそらくどの国よりも圧倒的に高い人気を博していると思います。その理由は、同じ東アジア、あるいは同じ漢字を使っている文化圏の人じゃないと深く理解できないような内容が含まれているからじゃないでしょうか」

「たとえば、『ブリーチ』や『ナルト』のような爽快で明快で、正義感が溢れている『少年ジャンプ』の連載作品は、普遍的なテーマだけに、欧米でも受けるでしょうが、『タッチ』のような微妙で繊細な思春期の少年少女の心情を描いた動漫は、明快な性格がキャラクターの売りになるような欧米文化圏の人には、感覚的に受け入れにくいものがあるかもしれません」


「文化的な同一感を『タッチ』に感じる」

「私たちが高校生のとき、クラスではほぼ全員が『タッチ』と『スラムダンク』のアニメを見ていました。ある意味で、日本と中国の間の文化的な同一感をこうしたアニメに私たちは感じていたのでしょう。それを感じることが実に新鮮で、魅力的だったのです。逆にいうと、中国ではアメリカの動漫が一定のファンたちにしか読まれていないのですが、それはアメリカと中国に文化的な共通基盤が少ないからなのかもしれないですね」

「それともうひとつ、実写の映画は実在の人間が演じています。しかし日本のアニメは、まるで映画のように豊かな人生のストーリーを見せてくれつつ、あくまで“絵”ですから、そこには実在の人間がいません。したがって、アニメを通じて私たちはいくらでも想像力を膨らますことができ、アニメのストーリーやキャラクターに自分自身を投影させるゆとりができるのです」

「しかも日本のアニメの内容は多様性に満ちているため、実にさまざまなキャラクターが登場します。ですから、誰かしら、自分自身を投影できるキャラクターがいるものなのです。未熟な若者たちは、そんな日本のアニメに自分の将来を投影し、自分への励ましとすることもできれば、教訓とすることもできます。そういう夢と元気を与えてくれるのが、日本のアニメや漫画といった動漫なのです。いつかは中国の動漫も、日本の動漫に学んで、若者の心を惹きつける傑作を作りあげる日が来ることを期待しています」


「日本アニメを通して、中国を知ろう」という動き

 いま、中国では、日本の動漫を通して、中国自身を分析しようという若者たちが増え始めた。冒頭に紹介したウェブ上での呼びかけ人もそうだが、私が懇意にしている北京の某大学の日本語学部を卒業した女性もその一人だ。

 彼女は卒業論文を「中国における日本のポップカルチャー」というテーマで書き、実に豊富なデータを駆使して、「(中国の)若者は日本のポップカルチャーに囲まれているといっても過言ではない」と断言する。彼女は論文の冒頭で宮崎駿監督作品の主題歌の作曲などで有名な音楽家・久石譲が北京で開いたコンサートにおける情景を例にとって、中国の若者の日本動漫への憧憬を、次のような形で解説している(カッコ内は筆者)。

「(定員1300人の)会場のチケットはすぐに売切れてしまい、会場は若者たちで埋め尽くされた。新聞には『クラシック音楽になど見向きもしない若者たちなのに、なぜ日本の音楽家はこんなに人気があるのだろうか』という疑問が投げかけられた。最低年齢の観客は7歳であったとのこと。しかもこういう場では礼儀を全く心得ない(中国の)若者たちが、声一つ立てない。携帯電話を鳴らすこともなく、写真を勝手に撮る者もなく、まして途中で寝込んでしまう者など、一人もいなかった」

 彼女は、この摩訶不思議な現象を、「それは、彼らが心から久石譲氏を尊敬し、久石氏のコンサートをとても大事している。それが行動に反映されたのだ」とし、宮崎駿のアニメの世界を「作品に溢れる自然に対する愛情、平和を求める気持ち、家族愛や恋人同士の愛などで、観客を癒し、安らぎを感じさせる」と高く評価し、日本の動漫は「愛と友情を中心に構成し、前向きな精神が伝わってくる」から若者に受け入れられているのだ、と分析している。

 ウェブで、取材で、私は中国の若者たちの声を拾い、彼ら彼女らがなぜ日本の動漫に惹かれるのか、その理由を探ってみた。以上お読みいただいたように、中国の若者たちは、日本の動漫に、単なる娯楽以上のものを見出している。それは、彼らが言うように、日本の動漫が、多様性に富み、ストーリーが豊かで、登場キャラクターが魅力的で、自分たちの心情を投影したり、主人公になりきることで現実の苦しみやつらさから解放してくれるからだ。

 青少年の情操教育に害を及ぼす、などと日本ではPTAあたりに突き上げもくらうことがある日本の動漫は、中国の若者にとっては、娯楽としてはもちろん、思想的にも、心理的にも「なくてはならない」ものになりつつあるのだ。そして、皮肉にも「官」の審査を経た中国の動漫は、彼らのそんな内なる欲求を満たすことができないのである。


それは中国政府が望む道とは思えないが…?

 なるほど、こうしてみると、中国における日本の動漫人気は「単なるブーム」を超えた文化的な「何か」となりつつあるようだ。

 ただし――。ここで次の疑問がわいてくる。

社会主義体制の中で中国共産党的思想統制に基づく愛国教育を受けてきた中国の若者の精神に、日本動漫の自由自在な発想がすんなりと定着していくのか?
 
 そしてなにより、日本の動漫に(あくまで結果としてではあるが)「思想形成」されていく中国の若者たちの現状を中国政府が黙って見過ごすことがあり得るのだろうか?

 この問題に関しては、また項を改めて、考えてみたい。



[参考]http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20071005/136942/?P=1&ST=sp_china
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テーマ:萌え学 - ジャンル:サブカル

【 2007/10/11 12:23 】

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中国共産党中国共産党(ちゅうごくきょうさんとう、''中国共?党''、''Communist Party of China'')は、中華民国(台湾移転以前)および中華人民共和国における共産主義政党。中華人民共和国憲法において唯一の政権政党と明記され、事実上の一党独裁制を維持している。略称 中国便覧【 2007/10/14 18:15 】
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